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            メール・マガジン

       「FNサービス 問題解決おたすけマン」

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    ★第039号          ’00−04−07★

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     心理学的知識

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●問題解決・意思決定の技法

 

としての Rational Process 、我が国ではKT法、EM法というネーミングで

広められて来た思考技法、を紹介するためのメルマガ、、 のつもりでしたが、

 

配信開始後、寄せられて来る相談がどれも詰まるところ<人間関係>に由来し、

しかも主に<上>の理不尽さに関わるものだったのが運の尽き。 そちらでの

やり取りに影響されてか、<心>がらみで綴ることが多くなってしまいました。

 

一人じゃ生きられないのが人間。 どこに身を置いても、誰かと何らかの関係

に立たざるを得ません。 しかもたいてい、思い通りには動かせない。 早い

話、我が女房、我が子ら、といえども、、ですからね。  まして他人様は、、

 

で、逆に、問題を抱えているということは、即ち生きている証、でもあります。

となると日常の人間関係で<問題>を少なくするには、当然<人間学>が必要、

と気付く、、はず。  あなたは、その面でどんな<武器>をお持ちですか?

 

 

この質問、ここで思いついたわけではない。 EM法研修の最中も、折あらば

受講者に尋ねたものです。 が、<人間学>では答えにくかろう、で、「この

中に、大学で<心理学>を学ばれた方は、、?」てな具合。 つまり、

 

<最高学府>を出たのは、<上>を目指す人だからでしょう。 上に立つ、と

は部下を持つこと。 人間様を<扱う>仕事なのですから、<扱われる>側に

比べ、<扱う>側の方が多少とも優れていなくては、具合良く行かない。

 

職場の人間関係での<上>なら、専門知識や専門技能での優越は当然。しかし

人を<扱う>となれば、それ以上<人間>についての知識や能力が必要です。

その強化に役立つもの、で、大学のカリキュラムにありそうなのは、、?

 

で、たとえば<心理学>。 だから、「心理学などお取りになった方は?」。

しかし、これに手を挙げてくれる人が意外に少ない、どころか、まずいない。

「心理学科卒?」と訊いたわけじゃないのに、ですよ。 そこでやむなく、

 

せめて興味は? と訊くが、これもサッパリ。 (私の場合、特性的に)

製造企業での研修が多かったせいもあろうけれど、<人間心理>に関する

興味がそんなに無くて良いのか? それで<管理職>務まるのか? と

不思議でした。  もちろん口になど出しはしませんでしたが、、、

 

人間は意識の存在、心の問題を抱えた生き物。 その方面の体系的知識を

持たずに、<人を扱う>なんてこと出来るのかな? とは思いましたよ。

 

あなたにおいて、この点、いかがですかな?

 

*   *

 

一般教養課程の「心理学」、文系、理系、どちらにもあったはず。 それは

概論的でしかなく、実務に活用できるレベルのものではないでしょう。 が、

たとえ概論でも手がかりになることは時にある、、と思います。 つまり、

 

教科書に解説されるのは、いわばビョーキ的諸現象の典型や類型。 我々の

遭遇する<問題>や、その周辺での人々の行動ぶりは、それらで説明がつく

ことも結構あるのです。 たとえば、

 

「両目を寄せて視線を下げれば、自分の鼻が見えるのは普通。 だが、鼻が

目障りだ、邪魔でたまらない、と言うようなら、その人はビョーキである」

なんて読むとワクワクして来ますな。 色々に応用できるでしょう。

 

「その商売、儲けが大きいということは誰にも分かる。 しかし、だから

何が何でもそれを、とコダワルのはビョーキである」。 即ちたいていの

経営者はビョーキ、と言えるのではあるまいか。 しかも不治の病、、、。

 

「老後は豊かに暮らしたい、と誰でも思う。 だが、そのためならどんな

手段を用いても、と頑張りすぎるのはビョーキだ」。 「天下り先の確保

安定!」がステートメント、という<エリート>は、間違いなくビョーキ。

 

*   *   *

 

かつて私の相棒だった男、帝国陸軍兵長として北支派遣軍司令官たる少将殿

にお仕えした者ですが、終戦のご詔勅を届けた時は唖然とさせられたという。

ウロタエた閣下の第一声、「で、ワシの恩給はどうなるんじゃ?」、、!

 

おいおい、我々は負けたんだよ。 命永らえて故国まで帰り着けるか、いや、

日本という国がどうなるかも(その時点では)分からないんだ。 <恩給>

どころじゃないぜ。 師団長殿が<部下>を想うより先にそんな、、? と。

 

教科書に忠実、答の用意された試験問題を解き、の学校秀才。 その中にも

実<戦>で強い人はいたろうが、この閣下は秀才どまり。 作戦的頭脳ゼロ、

劣勢に陥ると思考停止、、を日ごろ見せられ、尊敬などしてはいなかったが、

さすがにこれほどまでとは、、! と呆れたわけ。 実際、その後ひそかに

 

軍用機に便乗、卑怯にも師団全員を残してさっさと帰国してしまったという。

以来消息は存じ上げないが、念願の<恩給>は多分シッカリと、、の推定。

 

「陸大銀時計組」が自慢の<エリート>職業軍人でこのザマ。 作戦や指揮

の方法は習ったはずだが、イザ鎌倉!の場面では、プロ意識も国への忠誠心

も、カケラすら無かった、と。  結局<恩給>だけ、のビョー人でした。

 

*   *   *   *

 

その種のビョー人に(どうせ分かるまいが)捧げたい言葉があります。

 「その人の行ないがその人の知識より偉大なときは、その知識は有益で

  ある。 しかし、その人の知識がその人の行ないより大になるときは、

  その知識は無益である。」      ラビ・ハニナ・ベン・ドーサ

 

日本人論隆盛のキッカケともなった、イザヤ・ベンダサン/山本七平の

「日本人とユダヤ人 」(1970年)、扉頁にありました。 本の中身は

別として、この一言が気に入って買った、のを覚えています。

 

つまり30年前も、まわりに「知識が無益」でしかない人が多く、アタマに

来ていたわけ。 ヘッポコ大卒やエセおエラ、、 みな自己満足のカタマリ

でした。 少しは賢くなって欲しいものだ、、と。 しかしさかのぼって、

 

あの戦争時代、我が将軍たちの中にリーダーと仰ぐべき人の少なかったこと

を想うと、個人の資質のほか、この国の制度や伝統も宜しくなかったようで。

 

先頃来の諸事件からも、この国にはビョー人に威張らせてしまう風習があり、

内容・体裁は少々変わったにせよ、それが未だ健在であることが分かります。

 

*   *   *   *   *

 

誤解なきよう申し添えますが、ここで言う<ビョー人>とは、フツーでない

思い込みの強さで、周囲とのバランスを欠く求め方をする人、くらいの意味。

 

 私も<写真>、<Hi-Fi>、<バイク>の3点で50年近く<ビョー人>

 して来ました。 が、どれも一人遊び、<人間関係>で害をなすものでは

 ない、ということで、、、 まあ人間、自分には寛大なものでしてね。

 

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●アメリカの心理療法家アルバート・エリス

 

の定義、「感情が場面にふさわしくなく、行動に不手際が多く、かつ統制が

とれていない。 しばしば不安になり、落ち込むことが多く、傷つきやすく、

あるいは敵意を感じやすい」のが<神経症>の症状。 自分の鼻が邪魔だ、

なんてのも多分それでしょうな。

 

心の状態がそんなで<上>が務まるわけが無かろうに、何故か<そんなの>

が上にいる、、のが世の常、であるらしい。  まあ、お手上げですな。

 

たまたまでしょうが、ご相談への私の回答が「的確だ」と評価されたことは

少なくありませんでした。 が、それもそのはず、私自身もそういう<上>

の下で働いた経験があるのですから。  でも私は、困ることは無かった。

 

 

その種の興味があり、些か本など読みかじれば、それなりの知識は持てます。

それを用いてアタマを働かせれば、かなり問題の発生を回避できるし、最悪

の場面に遭遇しても、何とか理性的に対応できる、、、

 

と胸を張るほどではありませんが、後向きになったり、落ち込んだりはせず

に済みました。 むしろ人生前半、かつてトップを務めていた頃の自分は、

こんな場合どうしていたろうか、など対比して反省、まことに有益でした。

 

*   *

 

上役は選べない、の<定説>。 まして離合集散の激しい今日。 それが誰、

いや丁寧語で<どなた>かな?、であろうと、いつ、どんなことになるかも

知れず、安心してはいられません。 が、<上>について

 

確かなのは、それが<どなた>であっても、ビョー人度(なる指標があると

すれば)は必ずあなたより高い、ということ。 即ちあなたよりもフツーで

ないであろうその人と、あなたは調子を合わせなくてはならないわけ。

 

しかし、調子を合わせたのが裏目、あなた自身にマイナスが降りかかること

すらあり得る、、と思えば不安になります。 ストレスが生じます。 さぞ

肉体的健康にも悪影響が、、。  で、どんどん増殖します。 それを

 

Rational Process で、となればすでにお馴染みの潜在的問題分析、シミュ

レーションで備えるのみ。 手順は、、たしか第17号で紹介しましたな。

 

*   *   *

 

<その人の部下>でいると、どんな段階あるいは場面で、どんなトラブルが

生じるだろう? まずこれを描き出すことが必要です、、 と言うはやすし。

相手が相手、ですからね。 <フツーの想像力>にとってあまり容易でない。

 

さらにトラブル原因の想定、予防対策、緊急時用対策、、と続く間、いかに

Rational Process の手順は知っていても、あるいは分析シートがあっても、

気が付くとアタマを抱えているばかり、、、になりかねません。 つまり、

 

技法の知識はあっても、それだけでは考えが捗らないことも多い。 機械や

製品など、形のあるものなら、いじくり回せばアイデアが湧いて来ることも

ありますが、人間様を、まして<上>をいじくり回すなんてことは出来ない。

 

そこで役立つのが<心理学的知識>。 その人の特徴に適った記述を教科書

の中に見いだし、それをヒントに色々思いめぐらす、、、下敷きがあれば、

仕事は速い。 これまで特に気付いてはいなかったが、うん、たしかにこれ

はあり得るな、、、と新発見も。 

 

Rational Process はヌケ・モレ・カタヨリを無くする技法ですが、それは

<心理学>自体も同じ。 両者の相互作用で、ただアタマを使うよりずっと

マシな結果になるでしょう。 そしてそれ以上、

 

あらゆる角度からチェックすることで、相手さんの意外な<一生懸命さ>が

理解でき、イヤな人とばかり思わなくなることもあるのです。 少なくとも

感情のたかぶりは収まるでしょう。

 

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●生兵法は大けがのもと、

 

と申します。 生半可な知識を振り回したり、ひと様をイロメガネで決め

付けたりは宜しくない。 その点 Rational Process は、手持ちの知識を

<偉大な行ない>へ結びつける技法、活用すれば安全度も高まります。

 

そして人間がらみの問題では、その Rational Process にコンテンツを

提供してくれる<ほかの知識>も大いに必要。 相乗効果、でしょうな。

 

<心理学>とは限りません、その問題の質に適った他の技法を併せ用いる

と、判断の質を高めることが出来、さらに相手を多少とも許すキッカケが

掴めることもあります。 特に後者の波及効果が大きいでしょう。

 

そのビョー人を嫌ってほかへ行っても、そこでは別のビョー人に出会う。

ほかへ行かずとも、次の異動でまた別のビョー人がやって来る、、、

それならいっそ、ビョー人との付き合い方を独自に工夫し、ビョー的な

大成果を挙げることになさるのも、、、 というお奨めです。

                          ■竹島元一■

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